新しい音楽を聴いてない話

「最近、なに聴いてる?」

 

最近、ふと友人に尋ねられて言葉に詰まってしまった。

一応これでもバンドをしているから、できれば気の利いたことを言いたい。

あれ、でもなに聴いてたっけ。

急いでApple MusicやYoutubeの履歴を探るも、

もはやベテランと呼ばれるアーティストばかりだ。

Youtubeに至ってはジャルジャルのやってるウルフルズみたいなやつのコントと、

ひとり暮らしのルーティン動画が大半を占めている。(でもどちらもおもしろくて大好き)

 

私、新しい音楽を聴いてない…?

 

ライブに行くくらい好きになったり、

その後の自分に影響を与えたりした音楽を考えると学生時代に遡る。

1番最初に好きになったのはミスチルスピッツ

覚えやすいメロディとすっと入ってくる歌詞が大好きで、

小学生〜今の私に至るまでずっと背中を押してくれている。

 

入り口がどちらもバンドだったことがきっかけで、

中高生の頃は90年代の邦楽ロックを聴き漁っていた。

ちょうどYoutubeニコニコ動画が流行り始めた頃で、

the pillowsSyrup16gフィッシュマンズTMGE、BJC などなど

おすすめを辿って新しい刺激にたくさん出会った。

やがて自分の好きな音楽を聴いている人たちに出会いたいなぁと思って、

都市部の大学に進学した。

 

暮らし始めた大阪では、同じ街に住むアーティストをたくさん聴いた。

奇妙礼太郎とかもう解散してしまったけど、ハヌマーンだとか。

今でもその人たちの音楽を聴くたびに、大学時代を過ごした街を思い出す。

 

いろんな場所で、いろんな感情で音楽を聴いてきた。

私は邦楽を中心に聴いてきたので、どうしても歌詞に気になり、

その時々の気分にぴったり合う音楽を求めてきたのだと思う。

年を取るごとに、自分の中で「今の気分にはこれだな」というストックが増えた。

だから、新しい音楽を求めなくても満足することができるようになったのだ。

 

音楽の聴き方は人によって違う。

私は音の隙間に自分の思いを映しがちだけど、

音のかっこよさに痺れる人もいれば、リズムを楽しむ人もいる。

新しい音楽に出会えていないことを嘆かず、

自分の心の向くまま、また好きのストックを増やせたらいいなと思った。