夢の話

ミュージカルに出ることになった。

演劇ド素人の私がなぜ選ばれたのかは謎だが、

帝国劇場のような大舞台。

失敗するわけにはいかない。

 

気がついたらフランス貴族のような裾の広がった青いドレスを着せられて、

ヘアセットも仕上がっていた。

 

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(イメージ)

 どうやら貴族社会をテーマにした、歴史もののミュージカルである。

そして、このミュージカルの恐ろしいところは、

本番中なのに自分のセリフを知らないところである。

 

幕間に演出家からセリフを言い渡され、それをぶっつけ本番で演じるのである。

私はたいへん緊張していた。

長台詞だったらどうしよう、

運動神経が悪いので上手く立ち回れるかも心配だった。

 

私の役は女主人で、一家のボス的なおばあさんだった。

一家の邸宅に客人を招き入れるシーンで登場するのである。

 

馬が登場する戦闘シーンが終わり、幕間が訪れた。

緊張がピークに達する中、

ドタバタの舞台裏で演出家から脚本を手渡される。

 

女主人「どうぞ、お召しになって」

(すしざんまいのようなポーズで)

 

セリフはそれだけだった。

想像していたよりもずっと短く、簡単だった。

軽く落胆する。

 

しかし、人前ですしざんまいを披露したことはない。

舞台では緊張で腕の動きが硬くなるかもしれない。

(どうぞお召しになって、どうぞお召しになって…)

幕が上がるほんの数分の間、必死にすしざんまいを練習したのであった。

 

 

これは夢の話である。

今週は仕事がとても忙しかった。

そして来週に向けての不確定な要素が多く、

どうやって準備をするべきかずっと考えていた。

そんな未知なる不安が、

すしざんまいとなって私の夢に立ち現れたのかもしれない。(???)

 

夢っておもしろい。

自分の意識下にあることが、ふいに具体的に出てきたりする。

眠っている間も自分は考えごとをしていたんだなぁと、

しみじみ思ったのであった。